chapter:想い、打ち明けて。 悠里は、昴と過ごす、最後の思い出がほしかった。 「お願い昴!! ぼくにそういう価値さえなくなったことは知ってる。好きな人がいることも知ってる。それでも……今だけでいいから」 「悠里?」 いったい何のことだ。 そう言わんばかりに、首をひねり、訊(たず)ねてくる昴のその姿が、とても白々しい。 悠里はここへきて、はじめて苛立ちを感じた。 昴の大きな唇に、自分の唇を押し当てる。 悠里と昴の唇が重なると、彼の息が止まったのに気がついた。 昴の困惑が悠里に伝わる。 けれど、昴に抱いてほしいという思いを、悠里は止める術を持たない。 これほど恋焦がれた相手と、何もせずに別れることなんて、できる筈がない。 悠里は、昴を誘惑するため、自らの舌を彼の口内へと滑り込ませる。 昴に教え込まれたとおり、悠里は彼の舌と自分の舌を絡め、味わうようになぞった。 すると昴は、くぐもった声を発し、悠里の身体を自分の方へと引き寄せ、強く抱きしめた。 「ん……っふ…………」 口の端から落ちる雫は、いったいどちらの唾液だろうか。 悠里の唇から、銀色の唾液が絶え間なく流れる。 ふっくらとした悠里の頬は朱に染まり、大きな瞳は満足げにうっとりと細められていた。 その姿を目にしただけで、昴は悠里の何もかもを奪ってしまいたくなる。 昴は先程までの抵抗をすっかり忘れ、欲望にまみれた。 |