好きと言えない。
第十話





chapter:想い、打ち明けて。





 昴は、悠里が横たわるベッドから背を向け、機械的に手を動かしている。

 服を着る、衣擦れの音が、悠里を追い込んでいく……。

 ずっと傍にいたいと、そう願っていた。


 けれど、遅かれ早かれ、こうやって離れることを、悠里は知っていたはず……だった。

 今日というこの日、昴に抱かれたら、離れようと決意した。


 だが実際はどうだろう。


 昴が自分の元から去っていくと実感すると、胸が引き裂かれそうに痛み、呼吸もできないほど、息苦しくなる。



 どうやったって、昴から離れることなんてできないのだ。



「いやぁ、行かないで!! 昴が好きなの!! 遠くに行かないで!! 彼女さんの代わりに抱いてくれてもいい。酷く扱ってくれてもいい……だから……だから………」


(そばにいてっ!!)

 悠里は去って行こうとする昴の背中にしがみついた。

「悠里?」

「お願い……だから……」


 こんなことはダメだと知っている。

 我がままだと昴に嫌われる。

 だが、悠里は止められなかった。


「ふっ…………」

 唇を閉じ、泣くまいと踏ん張るものの、悠里の唇からは嗚咽が出てくる。

 もう、昴には嫌われた。

 同性を好きになるなんて、気持ち悪い奴だと、失望された。

 絶望が悠里を襲いはじめていく。

 身も心も、凍え死にそうなくらい悲しく、そして苦しい。


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