迷える小狐に愛の手を。
第十四話





chapter:こいごころ





人間の外見なら、二十六歳くらい。

優しくって、穏やかな性格をしているんだ。

怒るとその分、怖いけど……。



でもって、三番目の朱(あや)兄ちゃんの年は六十五。

人間の外見でなら、二十歳くらいに見えるかな。

兄ちゃんたちの中では、一番ちゃっかりしてるっていうか……。

来る者拒まずって感じ。

貰えるものは何でも貰うっていう性格。




三人とも、妖狐でも人型でも、すっげぇ綺麗な姿をしてるんだ。

そんな兄ちゃんたちは、とってもオレに甘い。

たぶん、年齢がかなり離れているのが原因だろうな。

なんたって、オレの年齢は、長寿の妖孤族ではまだまだ若い。

二十五歳だ。
力だって兄ちゃんたちよりも強いのに、それを使いこなせないんじゃ宝の持ち腐れ。


兄ちゃんたちの方がオレよりもよっぽど強い。

幸はたぶん、紅兄ちゃんに似てるのかも。

だからかな? 幸の側にいたくなるのって……。

幸のことを考えると、今すぐ幸の顔を見たくなる。


時計を見れば、九時三十分をまわったところだった。

この時間だと、まだ二階のリビングにいるかな?

オレは気だるい身体をベッドから起こすと、地面に足を着ける。

最近は、足の痛みも少しずつ消えてきた。

神楽(かぐら)からつけられた傷も、瘡蓋(かさぶた)になってきつつある。

もうすぐ、前みたいに、そこらじゅうを駆け回ることができるようになるんだ。





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