chapter:こいごころ 人間の外見なら、二十六歳くらい。 優しくって、穏やかな性格をしているんだ。 怒るとその分、怖いけど……。 でもって、三番目の朱(あや)兄ちゃんの年は六十五。 人間の外見でなら、二十歳くらいに見えるかな。 兄ちゃんたちの中では、一番ちゃっかりしてるっていうか……。 来る者拒まずって感じ。 貰えるものは何でも貰うっていう性格。 三人とも、妖狐でも人型でも、すっげぇ綺麗な姿をしてるんだ。 そんな兄ちゃんたちは、とってもオレに甘い。 たぶん、年齢がかなり離れているのが原因だろうな。 なんたって、オレの年齢は、長寿の妖孤族ではまだまだ若い。 二十五歳だ。 力だって兄ちゃんたちよりも強いのに、それを使いこなせないんじゃ宝の持ち腐れ。 兄ちゃんたちの方がオレよりもよっぽど強い。 幸はたぶん、紅兄ちゃんに似てるのかも。 だからかな? 幸の側にいたくなるのって……。 幸のことを考えると、今すぐ幸の顔を見たくなる。 時計を見れば、九時三十分をまわったところだった。 この時間だと、まだ二階のリビングにいるかな? オレは気だるい身体をベッドから起こすと、地面に足を着ける。 最近は、足の痛みも少しずつ消えてきた。 神楽(かぐら)からつけられた傷も、瘡蓋(かさぶた)になってきつつある。 もうすぐ、前みたいに、そこらじゅうを駆け回ることができるようになるんだ。 |