迷える小狐に愛の手を。
第十四話





chapter:こいごころ





そう思うと、落ち込み気味の気分は少し浮上する。


そう言えば……オレ、昨日の深夜どうしたんだっけ?

やっぱ、発情期とか言うヤツになったんだろうか?

よく覚えていない。

なんか、幸と話していたような気がする。

その時の幸は、ギスギスする前の幸じゃなくって、とっても優しかったような気がする。

……っていうことは、やっぱあれは夢だったのかな?




できれば今日、今朝方に見た夢と同じように、幸と仲良くしていたい。

昨日のギスギスしたことは何でもないと、そう言って欲しい。


オレは重い足を、二階のキッチンへと向かわせた。


いくつかの階段を下りて目の前にある茶色い扉を開ければ、そこには四人掛けのテーブルがある。

幸に避けられていると思うと、必然的に下りてしまう視線。

弱気になるのをなんとか堪えて、落ちた視線を無理やり上げる。

そうしたら、やっぱり幸がいた。

幸は広い背中をオレに向けて、朝ごはんの準備をしているようだった。


ここからじゃ、幸は、ダイニングキッチンにやって来たオレのことに気がついているのか、そうじゃないのか、分からない。


……どうしよう。

なんて声をかければいいんだろう。

前は……。

どうやって幸に話しかけていたんだろう。

幸と知り合った頃が懐かしい。

もう、気軽に話せるような、あの関係に戻ることはできないのかな……。





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