迷える小狐に愛の手を。
第十四話





chapter:こいごころ





……チクン。

そう思うと、胸がまた痛み出し、瞼が熱くなって、涙が視界を塞(ふさ)いでくる。


たったこれくらいのことで泣くなんて、全然オレらしくない。

なんでこんなに悲しいんだろう。

たかがひとりの人間に避けられているだけじゃないか。



……その理由はきっと、幼馴染みだった神楽に両親を殺され、大好きだった兄ちゃんたちと離れてしまったからだ。


ひとりぼっちだって、そう思った矢先に幸が側にいてくれた。

だからだな……きっと――。


オレは出てきた涙を腕でグイッと乱暴に拭いて、幸の広い背中を見つめた。


「古都(こと)か。今、食事の用意ができたところだ。食べるといい」

幸は背中を向けたまま、オレに話しかけてきた。

幸はどうやら、オレがココにいるのを知っていたようだ。



なんで?

どうしてオレを見ないの?

そこまでオレのことが嫌いになった?



せっかく閉じ込めた涙は、また溢れはじめる。

だからもう、ガマンの限界だった。


「なぁ、幸。オレ……発情期のこと……ごめん」



……ぽつり。

背中を向けたままの幸に話しかける。

そうしたら、幸の肩がビクンと上下に揺れた。

幸の反応のおかげで、やっぱりこのことが避けられる原因だったんだと確信した。


「あの……だから……前みたいに、接して欲しいんだ……。幸……あの……」

オレが何を言っても、幸は無言のまま――。





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