chapter:こいごころ オレは、ふかふかなベッドに顔を押し付け、声を噛み殺して泣いた。 ……。 …………。 どれくらい泣いたかな。 窓の外は、まだお日さまがあった。 長い時間、たくさん泣いたと思ったのに、あんまり時間は経っていないみたいだった。 ずっと泣いていたから、瞼が重い。 部屋の中にある鏡を見ると、瞼が、すっげぇ真っ赤に腫(は)れていた。 すごいブサイク顔だ。 人に見られなくてよかった。 ……なんて、ショックを受けたところで、幸はオレを避けているから、顔を合わすようなことは、まず、ないだろう。 そう思うと、胸が痛い。 みんなはどうしたんだろう? 耳を澄ませば、一階はすごく静かだった。 重い瞼を閉じて気配を探るけど、人の気配はしない。 加奈子と幸は、昼ご飯を食べに行っているんだろう。 オレを置いて……。 ふたりきりで……。 ズキッ。 また、胸が痛み出す。 幸と加奈子が笑い合いながらご飯を食べているところを想像すれば、ものすごく悲しくなるし、オレを忘れられていると思うと、かなりムカつく。 ――いやいや、幸が加奈子を食事に誘うのはいつものことだったじゃんか。 加奈子がドジをした時、彼女の落ち込みようったら見ていられないほどだ。 だから幸は、彼女を慰(なぐさ)めるために、食事に誘うんだ。 そのことで今さら不愉快になるのは、オレが幸を好きだと気がついたからだ。 |