chapter:こいごころ 幸は加奈子のことをどう思っているんだろう。 幸は……。 加奈子と話す時、いつも笑顔だった。 優しい笑顔。 その意味は――……。 ああ、なんだ。 そういうことか。 ――ああ、オレ、ココにいちゃ、いけないんだ。 オレ、ふたりの邪魔をしているんだ。 だったら、最近の、オレに対する幸の態度も分かる。 好きでもない、しかも男のモノなんて触りたくないのに触らされて……。 加奈子と……好きな子と一緒にいたい時間も、オレに付き合わされてさ……。 しかもオレは、同じ妖狐からは命を狙われてる危険な存在でしかない――。 なんだ。 そっか。 だったら、出て行かなきゃ。 幸と加奈子が幸せに暮らすために……。 たとえ、オレの胸が痛んで、張り裂けそうだとしても――……。 オレが大好きな幸が、幸せに生きていけるように……。 出て行かなきゃ。 そう決意すると、今まで動かなかった身体は、すぐに反応しはじめる。 白のパーカーとジーンズは、幸におととい買ってもらった服。 それを身に着け、涙でぐしょぐしょになった顔を洗って、玄関がある一階まで下りる。 一階の裏口にあった黒のスニーカーも、もちろん幸に買ってもらったものだ。 幸にはしてもらってばかりで、本当に申し訳ないという、罪悪感だけが残る。 |