迷える小狐に愛の手を。
第十四話





chapter:こいごころ





幸は加奈子のことをどう思っているんだろう。

幸は……。

加奈子と話す時、いつも笑顔だった。


優しい笑顔。

その意味は――……。



ああ、なんだ。

そういうことか。


――ああ、オレ、ココにいちゃ、いけないんだ。


オレ、ふたりの邪魔をしているんだ。


だったら、最近の、オレに対する幸の態度も分かる。

好きでもない、しかも男のモノなんて触りたくないのに触らされて……。

加奈子と……好きな子と一緒にいたい時間も、オレに付き合わされてさ……。

しかもオレは、同じ妖狐からは命を狙われてる危険な存在でしかない――。



なんだ。

そっか。


だったら、出て行かなきゃ。


幸と加奈子が幸せに暮らすために……。


たとえ、オレの胸が痛んで、張り裂けそうだとしても――……。

オレが大好きな幸が、幸せに生きていけるように……。


出て行かなきゃ。



そう決意すると、今まで動かなかった身体は、すぐに反応しはじめる。


白のパーカーとジーンズは、幸におととい買ってもらった服。

それを身に着け、涙でぐしょぐしょになった顔を洗って、玄関がある一階まで下りる。

一階の裏口にあった黒のスニーカーも、もちろん幸に買ってもらったものだ。

幸にはしてもらってばかりで、本当に申し訳ないという、罪悪感だけが残る。





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