迷える小狐に愛の手を。
第十四話





chapter:こいごころ





チクチク。
チクチク。

胸が痛むのは、大好きな幸から離れなきゃいけないって思うのと、迷惑ばかりかけてしまった自分の不甲斐(ふがい)なさを思い知らされるからだ。


黒のスニーカーは、履くとオレの足を締めつけ、傷口に響くけど、そんなことは気にしていられない。

ふたりが戻って来るまでに、ココを出なきゃ。


家は……鍵がかかってないから不用心だけど……。


それでも、オレがココにいると、神楽に見つかったら不用心どころじゃないから、まだマシだろう。

オレは痛む胸を押さえて、世話になった幸の家を背中に向け、後にした。


行先なんて、分からない。

だけど、ココにいちゃいけない。

でも結局は、大好きな幸がいないところなんて、どこだって一緒なんだ。


外に出ると、少し傾きかけているお日さまは、まだ白い。

限りなく広がった青い空を見上げ、オレはそっと息を吐いた。



オレ……。

とうとう、ひとりになっちゃった。


心もとない気持ちになりながら、ゆっくり足を進める。

幸の家をグルリと囲むコンクリートの塀に背中を向け、真っ直ぐ前に向かって歩く。


『あれ? 兄貴じゃん?』

心細い気持ちでひとり、歩いていると、突然、知っているような声が聞こえて後ろを振り向いた。

一匹の三毛猫が、塀の上にいた。



あれ?

あの猫って……。

どこかで見たような……。





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