迷える小狐に愛の手を。
第十四話





chapter:こいごころ





唇を噛みしめていないと、口から悲鳴が飛び出しそうだ。

今まで、オレの近くにいた神楽は、こんな狂気じみた気配は出さなかった。

いつも無口で穏やかで、それでいて、とても静かだった。

この荒れ狂うような、恐ろしい狂気を、長年押し殺していたんだと思えば、とてつもなく怖い。


オレへと近づいてくる足音が、ある程度まで近づき、止まった。


前を見ると……。


そこには、腰まである漆黒の髪を風になびかせ、鋭い紫の目でオレを射抜く神楽がいた。


「やっと見つけたよ、俺の花嫁」


神楽は低い声でそう言うと、オレに手を伸ばしてくる。

その途端、オレの意識が途絶えた。





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