迷える小狐に愛の手を。
第十五話





chapter:蜜に溺れる身体





その両足の付け根にあるオレ自身は、神楽に捧げるように、配置させられている。


ふざけんな。

ふざけんな、ふざけんなっ!!


「ふざけんなっ!! 早くこの縄、解けよっ!!」



オレが戒(いまし)めを解こうと、必死に身体を動かせば、両手首や両足首に巻かれているロープが皮膚に食い込んでいく。


せっかく治りそうになっている足の傷は、また悪化する。

だけど、今はそんなことを気にしている余裕はない。

痛みに構わず、身を捩(よじ)る。

「無駄だよ、古都。俺は二度も同じ過ちをおかさない。もう、君は逃げられないよ? 君のすべてはもう、俺のモノだ」

「っく、なんで……なんでだよ神楽!! 前はこんなんじゃなかっただろ? なんで……。

なんで……父さんと母さんを殺したんだよ!!」


「……すべては、人間に復讐するため」

「――なっ!?」

神楽は、自分に言い聞かせるように、オレの問いに、ぼそりと答えた。


……やっぱり。神楽は、自分の親を殺されたことが許せなかったんだ。


人間に両親を殺された苦しみや悲しみは分かる。

だけど、その為に、オレの父さんと母さんは……。


「古都、君はさっき、『昔はこんなことをしなかった』と言ったね? たしかに、昔はこんな行動は取らなかった。だけどね、俺はこういうことを、毎日考えていたんだよ」





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