迷える小狐に愛の手を。
第十五話





chapter:蜜に溺れる身体





オレは抵抗の意味を込めて、足元にいる神楽を睨(にら)んだ。

「その挑戦的な眼も、すぐに泣き顔へと変化することになる」

神楽は、そっとオレの傷ついた足首を撫でた。


「オレに触んな!!」

オレの身体は恐怖で震えはじめる。

それを気づかれないよう、威嚇(いかく)する。

だけど、それさえも神楽はお見通しみたいだ。

口角を上げて、ニヤリと冷たい笑みを浮かべた。


「それは出来ない相談だよ、古都。なんといっても、君に触れる事こそが俺の望みだからね」

神楽はそう言うと、桃色の小ビンのフタを開け、ねっとりとしたクリーム状のものを手に取った。

神楽の指に付着している真っ白いクリームを見ると、とてつもなく恐ろしいものに見える。





……ゾクッ。

オレの背筋に寒気が走った。



イヤだ。

怖い。

クリームを見た瞬間、身体がこれまでにないくらい、拒絶をした。


「へぇ、古都はこれが何かわかるの?」

神楽は薬指につけたクリームを突き付けてくる。

「知るかよ、そんなの!!」

強張る身体とは対照的に、恐怖を感じ取られないよう言葉だけは虚勢を張る。

そんなオレに対して、神楽は冷静だった。

「試してあげようね」

神楽は、ふたたび冷たい微笑みを見せると、クリームがついた指を、むき出しになっているオレの胸に塗りはじめる……。


「イヤだ!! こんなのおかしい!! ヤメロよ!!」





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