chapter:蜜に溺れる身体 疼く身体をなんとか堪え、神楽を拒絶する。 「だれ……が、言うかよ……」 神楽なんて大嫌いだ。 強く睨み返したいのに、涙で視界が霞む。 おかげで威嚇することもできない。 これじゃあ、ただの虚勢にしか見えないだろう。 それでも、オレは抗(あらが)わなきゃいけない。 オレがオレでいられる間は、死んだって抗い続けてやるんだ。 オレは改めて決意すると、縛られていた手足に力が入る。 まだ、大丈夫。 まだ、オレはオレでいることができている。 確認するオレを、だけど神楽は薄気味悪い笑みを浮かべた。 「そうか、残念。古都が嫌だって言うなら、君はこのままだ」 オレはまだ、神楽に抵抗できている。 最後まで抵抗してやる!! その決意は、冷淡な視線を寄越(よこ)す神楽によって、簡単にへし折られてしまった。 「俺は今から仕事に行かなければならない。この世界でモデルをしているんだよ。妖狐の力を使わなくてもね、みんな俺の言うとおりに動いてくれるんだ。まあ、ある意味、ここは面白い世界だね」 口を歪めて笑う神楽は、さらに残酷な言葉を放った。 「俺が戻ってくるまで、そうしていなさい」 神楽は……。 なんて……言ったの? 「神楽……お前……」 「おっと、そんな顔をしても無駄だよ。 素直にならない君が悪いんだ。 俺が戻って来るまでに、欲しがってくれることを祈ろう」 |