chapter:蜜に溺れる身体 だけど、やっぱり人間の姿はない。 それに、周りはボロボロのアパートばかりだ。 ――神楽の住処から、いったいどのくらい歩いただろう。 もう、オレの身体は限界を迎えていた。 男根にも似たソレは、いまだにオレの内壁を弄り続けている。 それに、身体を動かせば、コートが擦れる。 紐で縛られ、イくことを禁じられたオレ自身も……もう限界だった。 ガクンッ。 強い刺激を受け続けたオレの身体が、傾く。 ドサッ。 そのまま倒れ込むようにして、オレの身体が硬い地面に打ちつけられた。 痛覚は、もうない。 あるのは、オレを絶頂へと導こうとする感覚だけ……。 「ん……はっ……」 オレの意識も、もう……消えていく……。 オレ、このまま死ぬのか……。 自分を戒めている紐さえも解く力はない。 『兄貴!!』 リンは意識が朦朧(もうろう)としているオレに駆け寄り、話しかけてくれる。 だけど……。 もう、いいかもしれない。 どうせ、オレは神楽に見つかる。 幸に会えば、幸の身に危険が及ぶ。 種族の違いや、同性への恋心は、けっして届かない。 だけど……さ、せめて……もう一度。 ゆき……。 あいたかったなぁ…………。 抗う力を失ったオレは、必死に呼びかけてくれるリンの声を聞きながら、目を閉じた。 |