迷える小狐に愛の手を。
第十六話





chapter:想い、見る夢







――……都――


――古都(こと)――



ゆ……き?


優しい声音が、暗闇に沈んでしまったオレを呼び覚ます。

「ゆ……き……」

唇を動かし、そっと、彼の名を呼んだ。

目を開けると、そこには夜空に光り輝く星々を思わせる瞳をした幸(ゆき)がいた。

ココは、神楽(かぐら)から逃げるまでの道のり。

だから幸に会うハズがない。

これは夢だ。

現実じゃない。

……でも、それでもいい。

幸に、また、会えた。

会いたいって思っていた、幸に会うことが、できた……。


「ゆきぃ…………」

目頭が熱くなって、目じりに違和感が生まれた。

オレ、泣いているんだ。


「ゆき」

離れたくなくて、オレは手を伸ばし、大好きな幸の首に巻きつける。

「ゆ……き…………」

好き。
すごく好き。
幸が大好きだよ?
オレ、神楽なんかに抱かれたくない。


――古都、帰ろう――

泣き縋(すが)るオレに、幸は目を細めて微笑んだ。



……もう、離れたくない。

……側にいたい。


コクン。

オレは迷うことなく、うなずいた。

地面から、ふんわりと浮く、オレの身体。

幸は、うなずいたオレを横抱きにして、歩き出す。

オレは、凛々しい横顔を見つめながら、また意識を飛ばしかける。



身体は、もうボロボロだった。

中を弄(まさぐ)る男根に似た異物も、身体が感じすぎたおかげで麻痺してしまっている。





- 149 -

拍手

[*前] | [次#]
ページ:

しおりを挟む | しおり一覧
表紙へ

contents

lotus bloom