chapter:打ちのめされる現実 それを理解すると、幸は頃合いを見計らうかのように、鋭い犬歯を向けて襲いかかってくる。 幸……幸……。 なんでオレを抱いたんだ!? いくらオレが望んだからって、こんな……。 「ゆきっ!! なんでっ!!」 こういう事になるって、分かっていただろう? オレでも制御できない妖狐の力を、人間の幸が扱えるわけないじゃないか!! だけど、幸に尋ねることができない。 だって、オレの身体の上には、大きな妖狐の姿をした幸が覆い被さっている。 前足にある鋭い爪を、オレに向けているから……。 幸は大口を開けて、鋭い犬歯を見せつけ、オレの首元を狙ってくる。 幸に殺される!! そう思ったけれど、恐怖はない。 だって、これは自業自得だ。 オレは、神楽に植え付けられた快楽から逃げるために、幸を利用したんだから……。 「幸……ごめん。ごめんな……」 加奈子(かなこ)と両想いなのに、妖狐にさせてごめん。 オレがいて、ごめん。 オレは神楽から逃げちゃいけなかったんだ。 素直に神楽に抱かれていればよかった。 スキをついて神楽を殺せばよかった。 「ごめんな……ゆき……」 オレは目を閉じて、やってくるだろう激痛を覚悟した。 そうしたら――……。 ガッシャーーーーン!! |