chapter:打ちのめされる現実 変化していく幸を見つめながら、オレの頭の中で、ひとつの言葉が浮上した。 その言葉は、変化していく幸の姿を見ていると確信へと繋がっていく。 ――グルルルルルル……。 目の前のソレは唸り声をあげ、オレに威嚇(いかく)している。 百獣の王ライオンのように大きい狐……。 いや、違う。 狐じゃない。 恐ろしい妖力を持つ印として、尻尾は九つある。 オレの目の前にいるのは間違いなく、妖狐だ。 ただ、恐ろしい剣幕でオレを射るように見つめている幸の、瞬く星のような瞳は、人間だった時のまま……。 「幸……うそだろ?」 なんで……なんで……。 「九尾になってるんだよ!?」 しかも、九尾の王である父さんの身体よりもでかい。 九尾の身体のでかさは、妖気の質で決まる。 妖気が強ければ強いほど、身体は大きくなるんだ。 それは幸の妖力が、かなり強いことを意味している。 人間の幸は当然、妖気なんか持っているはずがない。 だけど、目の前の幸は、間違いなく妖狐だ。 まさか……。 オレはてっきり、夢の中で幸に抱かれたと思っていた。 幸はオレを避けていたから、現実じゃないと思っていた。 でも本当は、幸と身体を重ねたのは夢でも何でもなくて……。 幸に抱かれたのは、現実だったっていうこと? でなきゃ、幸が妖狐になる意味が分からない。 オレは、現実世界で幸に抱かれた。 |