迷える小狐に愛の手を。
第十七話





chapter:打ちのめされる現実





変化していく幸を見つめながら、オレの頭の中で、ひとつの言葉が浮上した。

その言葉は、変化していく幸の姿を見ていると確信へと繋がっていく。


――グルルルルルル……。


目の前のソレは唸り声をあげ、オレに威嚇(いかく)している。

百獣の王ライオンのように大きい狐……。

いや、違う。

狐じゃない。


恐ろしい妖力を持つ印として、尻尾は九つある。

オレの目の前にいるのは間違いなく、妖狐だ。


ただ、恐ろしい剣幕でオレを射るように見つめている幸の、瞬く星のような瞳は、人間だった時のまま……。


「幸……うそだろ?」

なんで……なんで……。


「九尾になってるんだよ!?」

しかも、九尾の王である父さんの身体よりもでかい。

九尾の身体のでかさは、妖気の質で決まる。

妖気が強ければ強いほど、身体は大きくなるんだ。

それは幸の妖力が、かなり強いことを意味している。


人間の幸は当然、妖気なんか持っているはずがない。

だけど、目の前の幸は、間違いなく妖狐だ。


まさか……。

オレはてっきり、夢の中で幸に抱かれたと思っていた。

幸はオレを避けていたから、現実じゃないと思っていた。

でも本当は、幸と身体を重ねたのは夢でも何でもなくて……。

幸に抱かれたのは、現実だったっていうこと?

でなきゃ、幸が妖狐になる意味が分からない。

オレは、現実世界で幸に抱かれた。





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