chapter:打ちのめされる現実 傷つけられたって、殺されたってかまわない。 だから幸を……助けてあげて。 殺さないで!! 『古都……分かった』 暁兄ちゃんは、必死にしがみつくオレを視界に入れると、静かにうなずいた。 それから、幸の腹目がけて、前足を思いきり打ち込んだ。 ギャンッ!! 兄ちゃんの攻撃によって、苦しげな声を上げた幸は、床に崩れ落ちた。 オレは、力なく倒れた幸へと駆け寄る。 「ごめん。幸、ごめんな……」 意識を失った幸の頭に、ほっぺたをくっつけると、あたたかな体温を感じた。 「ごめんな……ゆき……」 胸が苦しい。 幸をこんな目に遭わせてしまった自分が憎い……。 言いようのない、大きな罪悪感がオレを襲う。 胸から喉。 そして口へと込み上げてくる苦い思い。 「……っく、ゆき、ごめんっ……」 オレは嗚咽(おえつ)をもらし、静かに泣いた。 |