chapter:打ちのめされる現実 オレがそうこうしている間にも、暁兄ちゃんは幸に向かって突進する。 大きな身体同士がぶつかり合い、幸が暁兄ちゃんに乗り上がった。 暁兄ちゃんを鋭い爪の餌食にしようと、喉元に突き付ける。 「やっ!! 幸!! 幸やめてっ!! その人はオレの大事な兄ちゃんなんだっ!!」 今すぐ戦いをやめて!! そう言うオレの声は、だけどふたりには届かない。 死闘は続く。 今度は暁兄ちゃんが動いた。 幸の下敷きになっていた暁兄ちゃんは体勢を整え、幸の、前足の付け根に鋭い爪を食い込ませた。 「や、幸!! 暁兄ちゃん、ダメ!!」 幸は、ギャン、とひと鳴きして、暁兄ちゃんに取り押さえられる。 そして、今度は暁兄ちゃんが幸の喉元へと爪を立てた。 「いやだ。暁兄ちゃん、やめてっ!!」 ――幸を殺さないでっ!! オレは、身体からシーツが零れ落ちるのも構わず、幸を殺そうとしている暁兄ちゃんへと走り寄り、しがみついた。 お願い。 「暁兄ちゃん、お願い。幸を殺さないで!! 幸は……オレを庇(かば)ってこうなっただけなんだ!!」 『古都、分かっているのか? 此奴(こいつ)は自分の妖力の源であるお前の存在を消すため、お前を殺すぞ? それでも……』 「いい。いいよ。幸なにら殺されてもいい。ぜんぶオレのせいなんだ!! だから暁兄ちゃん!!」 |