迷える小狐に愛の手を。
第十七話





chapter:打ちのめされる現実





オレがそうこうしている間にも、暁兄ちゃんは幸に向かって突進する。


大きな身体同士がぶつかり合い、幸が暁兄ちゃんに乗り上がった。

暁兄ちゃんを鋭い爪の餌食にしようと、喉元に突き付ける。



「やっ!! 幸!! 幸やめてっ!! その人はオレの大事な兄ちゃんなんだっ!!」

今すぐ戦いをやめて!!

そう言うオレの声は、だけどふたりには届かない。

死闘は続く。

今度は暁兄ちゃんが動いた。

幸の下敷きになっていた暁兄ちゃんは体勢を整え、幸の、前足の付け根に鋭い爪を食い込ませた。


「や、幸!! 暁兄ちゃん、ダメ!!」


幸は、ギャン、とひと鳴きして、暁兄ちゃんに取り押さえられる。

そして、今度は暁兄ちゃんが幸の喉元へと爪を立てた。


「いやだ。暁兄ちゃん、やめてっ!!」


――幸を殺さないでっ!!


オレは、身体からシーツが零れ落ちるのも構わず、幸を殺そうとしている暁兄ちゃんへと走り寄り、しがみついた。


お願い。

「暁兄ちゃん、お願い。幸を殺さないで!! 幸は……オレを庇(かば)ってこうなっただけなんだ!!」


『古都、分かっているのか? 此奴(こいつ)は自分の妖力の源であるお前の存在を消すため、お前を殺すぞ? それでも……』


「いい。いいよ。幸なにら殺されてもいい。ぜんぶオレのせいなんだ!! だから暁兄ちゃん!!」





- 164 -

拍手

[*前] | [次#]
ページ:

しおりを挟む | しおり一覧
表紙へ

contents

lotus bloom