迷える小狐に愛の手を。
第十八話





chapter:怒り狂う闇-side:神楽





言葉では表しきれないほどの、言いようのない苛立ち。

心の奥底からふつふつと込み上げてくる憎悪は、徐々に広がっていく……。


全身の毛穴はひらき、そこから今まで抑えていた妖気が立ち込めはじめる。

妖気の渦に捕らわれたベッドと箪笥(たんす)は宙に浮き、妖気と同じように旋回すると、あらゆるところの壁にぶち当たり、分散する。


俺の周囲を妖力の渦が勢いよく回り、周囲にあった物は大きな音を立てて壊れていく。


許せない。


古都は俺の伴侶だ。


それなのに、古都の妖力をすべて持って行かれた。


古都は、『何者』かに抱かれた。

――いや、古都を奪った、『誰か』はもう知っている。

古都を抱いたのはおそらく、俺から古都を横取りしたあの人間だ。


愚かな人間の分際で、古都を……。


だからそうならないよう、古都を縛り、かくまっていたのに――……。


本来、古都を奪うのは、伴侶たる俺だ。


それなのに……。


「くそっ、くそっ」

殺してやる。

古都を俺から奪った人間を殺してやる。


「古都、今から行くよ」


俺は暗闇の中で、静かに腰を上げた。



すべては古都を、意地汚い人間の手から救い出すために――……。





- 169 -

拍手

[*前] | [次#]
ページ:

しおりを挟む | しおり一覧
表紙へ

contents

lotus bloom