chapter:怒り狂う闇-side:神楽 言葉では表しきれないほどの、言いようのない苛立ち。 心の奥底からふつふつと込み上げてくる憎悪は、徐々に広がっていく……。 全身の毛穴はひらき、そこから今まで抑えていた妖気が立ち込めはじめる。 妖気の渦に捕らわれたベッドと箪笥(たんす)は宙に浮き、妖気と同じように旋回すると、あらゆるところの壁にぶち当たり、分散する。 俺の周囲を妖力の渦が勢いよく回り、周囲にあった物は大きな音を立てて壊れていく。 許せない。 古都は俺の伴侶だ。 それなのに、古都の妖力をすべて持って行かれた。 古都は、『何者』かに抱かれた。 ――いや、古都を奪った、『誰か』はもう知っている。 古都を抱いたのはおそらく、俺から古都を横取りしたあの人間だ。 愚かな人間の分際で、古都を……。 だからそうならないよう、古都を縛り、かくまっていたのに――……。 本来、古都を奪うのは、伴侶たる俺だ。 それなのに……。 「くそっ、くそっ」 殺してやる。 古都を俺から奪った人間を殺してやる。 「古都、今から行くよ」 俺は暗闇の中で、静かに腰を上げた。 すべては古都を、意地汚い人間の手から救い出すために――……。 |