chapter:お日さまを失った日。 それなのに、幸は今もまだ、目を覚まさない。 だけど目を覚ませば、本人の意思とは関係なくオレを殺しに来る。 真の妖力の持ち主は自分であるがため、力の原動力であるオレを狙うんだ。 幸は、妖狐の意識に乗っ取られ、幸という人格はこの世界からいなくなる。 ぜんぶ、オレが悪い。 オレが、『幸』という人格を殺したんだ。 その上、幸を妖狐という屍(しかばね)へと変化させた。 そして屍になった今も、身体は縛られ、拘束されている。 オレのせいで、幸は自由ではなくなった。 兄ちゃんたちと思わぬ再会を果たしたオレは、こうなった現況までを兄ちゃんたちに話した。 神楽が父さんと母さんを殺したこと。 オレを狙っていること。 幸が、傷ついたオレを介抱して助けてくれたこと。 幸に……抱かれたこと。 なにもかも、全部。 そうしてオレの話を聞き終わった兄ちゃんは、ココに結界を張って、神楽に見つからないようにしてくれた。 だから、ココは安全……。 …………でもないか。 だって目の前には、いつオレを殺そうかと息の根を止める機会を狙っている幸がいる。 兄ちゃんは、幸を殺すしかないと言う。 生かせば、幸は、オレが死ぬまで命を狙って来るからと……。 でも……でも……オレは……。 「古都(こと)、風邪をひくぞ? 上に戻ろう」 鎖で繋がれ、気を失っている幸の前で涙を流すオレの両肩に、そっとあたたかい手が乗った。 |