迷える小狐に愛の手を。
第十九話





chapter:お日さまを失った日。





それなのに、幸は今もまだ、目を覚まさない。


だけど目を覚ませば、本人の意思とは関係なくオレを殺しに来る。

真の妖力の持ち主は自分であるがため、力の原動力であるオレを狙うんだ。


幸は、妖狐の意識に乗っ取られ、幸という人格はこの世界からいなくなる。

ぜんぶ、オレが悪い。

オレが、『幸』という人格を殺したんだ。

その上、幸を妖狐という屍(しかばね)へと変化させた。
そして屍になった今も、身体は縛られ、拘束されている。

オレのせいで、幸は自由ではなくなった。


兄ちゃんたちと思わぬ再会を果たしたオレは、こうなった現況までを兄ちゃんたちに話した。

神楽が父さんと母さんを殺したこと。

オレを狙っていること。

幸が、傷ついたオレを介抱して助けてくれたこと。

幸に……抱かれたこと。

なにもかも、全部。

そうしてオレの話を聞き終わった兄ちゃんは、ココに結界を張って、神楽に見つからないようにしてくれた。

だから、ココは安全……。


…………でもないか。

だって目の前には、いつオレを殺そうかと息の根を止める機会を狙っている幸がいる。


兄ちゃんは、幸を殺すしかないと言う。

生かせば、幸は、オレが死ぬまで命を狙って来るからと……。


でも……でも……オレは……。



「古都(こと)、風邪をひくぞ? 上に戻ろう」

鎖で繋がれ、気を失っている幸の前で涙を流すオレの両肩に、そっとあたたかい手が乗った。





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