迷える小狐に愛の手を。
第十九話





chapter:お日さまを失った日。





見上げれば、威厳(いげん)がある、漆黒の揺るぎない瞳をした、長身の暁兄ちゃんがいた。


暁兄ちゃんは、余分な肉付きがない頬から鋭い顎へと流れる輪郭に、鋭く射抜くような力強い一重の目。
それに高い鼻。
その下には、薄くて大きい唇。

身長も、オレより頭ふたつ分くらい高い。

男のオレから見ても、暁兄ちゃんはカッコいい。

厳格な兄の暁兄ちゃんは、人型になるとそんな感じだ。


「ううん。ここにいる」

オレは、暁兄ちゃんの言葉に、首を横に振った。

「古都……」

「ごめんね、暁兄ちゃん。オレ……幸の側にいたいんだ……」

少しだけでもいい。
幸を感じていたい。
側にいたい。

たとえ、殺されることになっても……。


「だが、古都。もうお前の知っている幸は、此処(ココ)には……」

「うん。オレがそうさせたんだ」

だから、幸に殺されるのは当たり前。

だけどね、こうなったことは後悔してない。

そう思うのは、幸の立場を考えると、ものすごく無責任だけどさ……。


でも、でもな、オレ、嬉しかった。

幸に抱かれたこと。

すごく嬉しかったんだ。


こんな勝手なオレは殺されて当たり前。
これは因果応報。


だから、べつにいい。

大好きな幸に殺されるなら、オレはそれでいい。

幸の人格を奪ったオレの、唯一の罪滅ぼしだ。


「古都、お前は……」





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