迷える小狐に愛の手を。
第二十一話





chapter:アクション





……なんて想像したら、ますます三階が気になってしまう。


だから、ダイニングキッチンの扉をそっと閉めて、三階へと続く階段を上っていく。

少し上れば、すぐにダイニングキッチンの扉と同じ、茶色い扉が視界にあらわれる。


コンコン。

手をグーにして、扉をノックする。

だけど案の定、返事はない。


「失礼します」


もうすぐ病院が始まる時間だ。

もし、寝ているのなら、彼を起こさなければならない。


だけど、眠りの邪魔はしたくない。

あやふやな気持ちを抱えたまま、小さな声を出して、そっと扉を開けていく。
すると扉もまた、今の自分の心境と同じように控えめな音を立ててひらいていった。

ほどなくすると、開いた扉の隙間からベッドの端が見えた。

そこに彼がいる。

そう思ったのだけれど、どうしたのだろう。

部屋の中に入っても、ベッドの上に敷かれてある、真っ白い清潔そうなシーツ以外、そこには何もなかった。

半開きのままになっている窓からは、ベッドの上にあるシーツと同じ色をしたレースのカーテンが、朝の風に乗って揺らいでいる。

部屋は少し、もの悲しい。


どうして誰もいないのだろう?

もしかして、彼の身に、何かあったのだろうか?



カシャンッ。

しばらく立ち尽くしていると、突然一階からガラスが砕け散る音が聞こえた。

もしかすると、彼は一階にいるのかもしれない。

事務室かな?





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