迷える小狐に愛の手を。
第二十一話





chapter:アクション





そういえば、事務室はまだ見ていなかった。

足早に、一階にある事務室へと向かった。


「先生、いますか?」


……カチャ。

一階へと階段を一気に駆け下り、従業員しか入ることのできない扉を開けた。


すると、そこには……。
腰まである長い銀の髪をした、一見女性と見間違うくらいの、綺麗な見知らぬ男の人がいた。

金色の瞳と視線が交わると、身体が凍えたように動けなくなる。


「誰?」


声は掠(かす)れている。

自分が思ったよりも、声は小さくて、出ていなかった。


そうなったのは、目の前の男性があまりにも怖いと思ったからだ。

人間離れした髪と瞳の色は、染めているにしても、驚くほど自然なように思えた。

それがかえって恐怖というものを与えているのだろうか。


違う。そうじゃない。

彼の周囲にまとわりつく空気が冷たい鋭利な物のようだからだ。


「古都(こと)……古都をどこへやった!!」

目の前の男の人はそう言うと、距離を縮め、胸ぐらを掴んできた。

「古都……ちゃん? なんで……」


なぜ、狐の古都ちゃんを探すのか理解できなくて、震える身体を抑えて訊(たず)ねる。

男の人の言葉が理解できない。

古都くん?

もしかして、あの可愛い男の子の知り合いなのかな?

茶色いふわふわの髪に、くりっとした大きな茶色い目。

高校生くらいの、女の子のような容姿をした可愛らしい男の子。





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