chapter:アクション ……良かった。 両足の痛みはあるものの、走れないこともない。 胸を撫で下ろし、暁(あかつき)兄ちゃんの、ばかでかい洋館を見上げる。 その瞬間、兄ちゃんたちの笑い声が聞こえたような気がした。 ここから先は、兄ちゃんたちに迷惑をかける気もない。 これはオレと神楽の問題だ。 幸は、妖狐の力を駆使(くし)するのに時間がかかってしまうだろう。 幸が妖狐の力をコントロールできるまで、待っている時間はない。 「悪いけど、兄ちゃん。幸のこと、頼む」 取りあえず、幸の家に行こう。 たぶん、加奈子はオレを呼び出すために連れ去られたんだろう。 まさか加奈子を殺すとも思えないけど、傷つけないという保証もない。 加奈子がどうなったのかが気になる。 もし、神楽が加奈子を連れ去ったとすれば、オレ宛にメッセージを残すハズだ。 オレは、でかい家から背中を向けて真っ直ぐ走り出した。 目指すは幸の家だ。 暁兄ちゃんの家を出て、走ること約一時間。 オレはようやく幸の家の前に辿りついた。 足の速さは前よりも劣るけれど、人間の足よりは遅くない。 どうやら幸は、オレの妖力を根こそぎ奪うことはしなかったんだろう。 それでも、完全な妖狐だった時と比べると、足の速さは、格段に落ちていることはたしかだけど。 今はそんなことを考えている場合じゃないな。 オレは玄関に続く扉の取っ手に手をかけた。 |