迷える小狐に愛の手を。
第二十一話





chapter:アクション





……良かった。

両足の痛みはあるものの、走れないこともない。

胸を撫で下ろし、暁(あかつき)兄ちゃんの、ばかでかい洋館を見上げる。

その瞬間、兄ちゃんたちの笑い声が聞こえたような気がした。

ここから先は、兄ちゃんたちに迷惑をかける気もない。

これはオレと神楽の問題だ。

幸は、妖狐の力を駆使(くし)するのに時間がかかってしまうだろう。

幸が妖狐の力をコントロールできるまで、待っている時間はない。

「悪いけど、兄ちゃん。幸のこと、頼む」

取りあえず、幸の家に行こう。
たぶん、加奈子はオレを呼び出すために連れ去られたんだろう。

まさか加奈子を殺すとも思えないけど、傷つけないという保証もない。

加奈子がどうなったのかが気になる。


もし、神楽が加奈子を連れ去ったとすれば、オレ宛にメッセージを残すハズだ。

オレは、でかい家から背中を向けて真っ直ぐ走り出した。


目指すは幸の家だ。



暁兄ちゃんの家を出て、走ること約一時間。

オレはようやく幸の家の前に辿りついた。

足の速さは前よりも劣るけれど、人間の足よりは遅くない。

どうやら幸は、オレの妖力を根こそぎ奪うことはしなかったんだろう。


それでも、完全な妖狐だった時と比べると、足の速さは、格段に落ちていることはたしかだけど。

今はそんなことを考えている場合じゃないな。

オレは玄関に続く扉の取っ手に手をかけた。





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