迷える小狐に愛の手を。
第二十二話





chapter:決意





オレは殺されてもいい。

どうせ妖力が小さい上に、人間と近い存在になってしまった。

この先、人間の世界で、たったひとりで生きていかなきゃいけない。

そんな自信はないから……。


それに、兄ちゃんたちは人間の世界で花嫁探しをしているから、世話になるわけにはいかない。

見つかるだろう花嫁と仲が良いところを邪魔したくないし……。


正直、神楽から逃げ出す自信もない。

今の妖力が少ないオレにとっては、神楽は恐ろしいほどの力の持ち主に見える。

だけど、加奈子だけは逃がさなきゃ!!


幸が――オレの好きな人が大切にしている女性だから。


「加奈子、オレが合図したらココから逃げるんだ」



オレは神楽に聞こえないよう、必死に声を抑えて、すぐ後ろにいる加奈子に話す。

神楽が襲いかかって来た時、いつでも上手く対処できるようにするため、視線はもちろん、神楽に向けたまま――。



「でも、古都くんは?」

「オレは平気、加奈子を追ってすぐ逃げるから」

「でも……!!」

「大丈夫、オレって実はすんげぇ足速いんだ。だから、大丈夫。幸が待ってるから、な」


一向に首を縦に振らない加奈子に、背中を向けながら必死に説得を試みる。

頼むから言うことを聞いてくれ。


やって来る神楽を睨(にら)んでいると……。


……コクン。

オレの後ろで、加奈子が小さくうなずく気配を感じた。





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