chapter:決意 オレは殺されてもいい。 どうせ妖力が小さい上に、人間と近い存在になってしまった。 この先、人間の世界で、たったひとりで生きていかなきゃいけない。 そんな自信はないから……。 それに、兄ちゃんたちは人間の世界で花嫁探しをしているから、世話になるわけにはいかない。 見つかるだろう花嫁と仲が良いところを邪魔したくないし……。 正直、神楽から逃げ出す自信もない。 今の妖力が少ないオレにとっては、神楽は恐ろしいほどの力の持ち主に見える。 だけど、加奈子だけは逃がさなきゃ!! 幸が――オレの好きな人が大切にしている女性だから。 「加奈子、オレが合図したらココから逃げるんだ」 オレは神楽に聞こえないよう、必死に声を抑えて、すぐ後ろにいる加奈子に話す。 神楽が襲いかかって来た時、いつでも上手く対処できるようにするため、視線はもちろん、神楽に向けたまま――。 「でも、古都くんは?」 「オレは平気、加奈子を追ってすぐ逃げるから」 「でも……!!」 「大丈夫、オレって実はすんげぇ足速いんだ。だから、大丈夫。幸が待ってるから、な」 一向に首を縦に振らない加奈子に、背中を向けながら必死に説得を試みる。 頼むから言うことを聞いてくれ。 やって来る神楽を睨(にら)んでいると……。 ……コクン。 オレの後ろで、加奈子が小さくうなずく気配を感じた。 |