迷える小狐に愛の手を。
第二十二話





chapter:決意





……これでいい。

これで、加奈子は無事だ。


「何の相談かは知らないが、俺から逃げるのは無理な話だよ。古都、さあ、あの人間はどこへやった? 隠し立てすると、いくら君でも容赦(ようしゃ)はしない」



「いいぜ、とことん相手になってやるよ!!」


神楽の刺すような妖気を感じ、踏み留まりそうになる足に力を入れると、神楽目がけて走り込んだ。


「加奈子、今だ早く逃げろ!!」

オレのかけ声とほぼ同時に、加奈子がいる場所とは逆方向に走り出す。

これで、加奈子は無事に逃げられる。

内心、ほっと安心しながら、オレは右手に拳をつくると、神楽のみぞおち目がけて殴りかかる。


オレの攻撃は普通の人間よりも速い。

だけど、妖狐の、ましてや父さんよりも強力になった神楽の力の前ではオレの力なんて赤子同然だ。

軽々と左手で受け止められてしまった。

右の拳が神楽の手にすっぽりと握りしめられた。


「っぐぅ、あっ!!」

鋭い痛みがオレを襲い、骨が軋む鈍い音が耳に入る。


オレの腕を使い物にならないようにする気だ。


「あんなに逃げ回っていたのに、今日の古都はいつになく積極的だな」

口角を上げて笑う神楽は勝ち誇っている。

妖力が極端に少なくなったオレに負けるはずがないと確信しているんだ。


だけど甘いよ。
オレにはまだ左拳ってもんがあるんだ。

「放せよ!!」





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