迷える小狐に愛の手を。
第二十二話





chapter:決意





神楽は、オレの両手を縛っていない、空いている方の手を、懐に忍ばせた。


……はらり。

前がはだけ、オレの胸部があらわになった。


「イヤっ!! 放せよ!!」

拒絶する言葉は、神楽には届かない。

それどころか、剥き出しになった乳首に唇を落とした。


「これも、ここも、俺のモノだ」

神楽は唇をオレの乳首に寄せ、交互に吸う。


「……っひ」

乳首を吸い終え、満足したのか、神楽の唇は、今度は腹を滑り落ちる。


「この滑らかな肌も俺のモノだ」

「イヤっ。イヤだ!!」

拒絶から、オレの身体は反り上がる。

だけど、その身体もすぐに余っている手で抑えられる。

オレに触れていいのは幸だけ。

けっして神楽なんかじゃない。

それなのに……こんな……。


オレの視界は、屈辱と幸に会えないという悲しみから涙で歪(ゆが)む。


口から漏れるのは、喘(あえ)ぎ声でもない。

ただの嗚咽(おえつ)だ。


「古都、お前は人間に身体を奪われた。だが、人間ごときに俺たち高貴な妖力は扱えない。――ともなれば、自滅するか、俺に殺されるか、どちらかひとつだけだ。それに、お前は父親の血を一番強く受け継いでいる。その分、仲間からの信頼も厚い。お前を俺の伴侶に迎え入れれば、妖狐族から敵対する奴らはいなくなる。古都、お前に選ばせてやろう。死か、俺か。俺を選べば、お前を奪った人間を殺すことは止めてやろう。自滅するのを見ておくだけに止める。だが、お前が俺を拒むなら……お前を抱いた人間も、さっき逃げたあの女も殺す。どうだ? 俺にしては優しい条件だろう?」





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