chapter:決意 神楽は、オレの両手を縛っていない、空いている方の手を、懐に忍ばせた。 ……はらり。 前がはだけ、オレの胸部があらわになった。 「イヤっ!! 放せよ!!」 拒絶する言葉は、神楽には届かない。 それどころか、剥き出しになった乳首に唇を落とした。 「これも、ここも、俺のモノだ」 神楽は唇をオレの乳首に寄せ、交互に吸う。 「……っひ」 乳首を吸い終え、満足したのか、神楽の唇は、今度は腹を滑り落ちる。 「この滑らかな肌も俺のモノだ」 「イヤっ。イヤだ!!」 拒絶から、オレの身体は反り上がる。 だけど、その身体もすぐに余っている手で抑えられる。 オレに触れていいのは幸だけ。 けっして神楽なんかじゃない。 それなのに……こんな……。 オレの視界は、屈辱と幸に会えないという悲しみから涙で歪(ゆが)む。 口から漏れるのは、喘(あえ)ぎ声でもない。 ただの嗚咽(おえつ)だ。 「古都、お前は人間に身体を奪われた。だが、人間ごときに俺たち高貴な妖力は扱えない。――ともなれば、自滅するか、俺に殺されるか、どちらかひとつだけだ。それに、お前は父親の血を一番強く受け継いでいる。その分、仲間からの信頼も厚い。お前を俺の伴侶に迎え入れれば、妖狐族から敵対する奴らはいなくなる。古都、お前に選ばせてやろう。死か、俺か。俺を選べば、お前を奪った人間を殺すことは止めてやろう。自滅するのを見ておくだけに止める。だが、お前が俺を拒むなら……お前を抱いた人間も、さっき逃げたあの女も殺す。どうだ? 俺にしては優しい条件だろう?」 |