迷える小狐に愛の手を。
第二十二話





chapter:決意





――自滅?


幸は自滅なんてしない。

だって幸は、妖狐の力に打ち勝ったんだ。

神楽はいったい、何を言っているんだ?


あ、そうか。

幸が妖力を自分の物にしたことを神楽は知らないんだ。


ということは、オレが大人しく神楽の言うことを聞きさえすれば、幸は神楽と戦わずにすむっていうこと?

幸は、加奈子と幸せに暮らせる?


「さあ、選べ古都!!」


神楽は、オレを縛る両腕の戒(いまし)めを緩めた。


オレが逃げるか、それともここに留まるかの選択をさせる気だ。

オレが神楽から逃げれば、幸は神楽と戦わなければならない。

オレが神楽の側にいれば、幸は戦わなくてもいい。


幸にはまだ、妖力を十分に使いこなすことはできない。

今、神楽と戦うよりはずっといい。

だけど……。

だけど……。


オレは、幸以外の、他の誰かに抱かれたくない。


オレ……。

オレは…………。


幸…………。



……するり。

ほっぺたを流れるのはオレの涙だ。


オレは、グッと、唇を噛みしめる。


自由になった両手を伸ばし――神楽の背中を引き寄せた。


「それでこそ古都だ。物分かりが良くて助かるよ」


絶え間なく流れる涙が、目尻を通って地面に落ちる。

唇を引き結び、嗚咽を漏らさないようにする。



「古都、古都……」

何度もオレを呼び、オレの身体に唇を落としていく。





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