chapter:決意 ――自滅? 幸は自滅なんてしない。 だって幸は、妖狐の力に打ち勝ったんだ。 神楽はいったい、何を言っているんだ? あ、そうか。 幸が妖力を自分の物にしたことを神楽は知らないんだ。 ということは、オレが大人しく神楽の言うことを聞きさえすれば、幸は神楽と戦わずにすむっていうこと? 幸は、加奈子と幸せに暮らせる? 「さあ、選べ古都!!」 神楽は、オレを縛る両腕の戒(いまし)めを緩めた。 オレが逃げるか、それともここに留まるかの選択をさせる気だ。 オレが神楽から逃げれば、幸は神楽と戦わなければならない。 オレが神楽の側にいれば、幸は戦わなくてもいい。 幸にはまだ、妖力を十分に使いこなすことはできない。 今、神楽と戦うよりはずっといい。 だけど……。 だけど……。 オレは、幸以外の、他の誰かに抱かれたくない。 オレ……。 オレは…………。 幸…………。 ……するり。 ほっぺたを流れるのはオレの涙だ。 オレは、グッと、唇を噛みしめる。 自由になった両手を伸ばし――神楽の背中を引き寄せた。 「それでこそ古都だ。物分かりが良くて助かるよ」 絶え間なく流れる涙が、目尻を通って地面に落ちる。 唇を引き結び、嗚咽を漏らさないようにする。 「古都、古都……」 何度もオレを呼び、オレの身体に唇を落としていく。 |