迷える小狐に愛の手を。
第一話





chapter:大きな傷を抱えて。





毛並みはいいに越したことないんだけどさ。

人間の姿になったら女と間違われるし、たまったもんじゃない。


オレだって立派な妖狐族の男なんだ。


そんなオレも、父さんの強力な妖力を受け継いでいる……んだけど、自分では力を制御できない。


だから妖狐としての力を使わず、だけど最小の妖力を持って人型になるんだ。


そんなわけで、自分の力を上手く使えないオレは、力を欲しがる奴らの格好の餌食になる。



オレの力を狙ってくる奴は多い。

オレの幼馴染みの神楽もそのひとりだ。


だからそんなオレを父さんはいつも警戒して側にいてくれた。


守ってくれていたんだ。

なのに……神楽はここ数年間でもくもくと力をつけはじめ、父さんの妖力も超えたんだ。

力ある者はさらにその上の力を欲しがる。


神楽はオレに目をつけ、力を奪おうとした。



妖力の力の奪い方は簡単だ。

身体を繋げればいい……。



だから神楽はオレを襲った。




昔はさ、とても優しい奴だった。

オレといつもツルんで遊んでいたんだ。


父さんも母さんも、まさか神楽が牙をむけるなんて信じられなかっただろう。



それは一瞬の出来事だった。

オレたち妖狐は成人を迎えると、単独行動をしてお嫁さんを連れ帰る。

だから他の妖狐もそうやってオレたちから離れて行った。


オレの家族は、本当は兄さんが3人いるんだ。





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