迷える小狐に愛の手を。
第二十二話





chapter:決意





腰に巻いていた着物を固定させる帯も、神楽によって解かれる。


そして……あらわになるのはオレの肌。

「綺麗だよ、古都。美しい」

神楽はオレへの賛歌を述べると、オレの口に、神楽の唇が落ちてくる。


キス……されるんだ。


幸にもされたことのないキスを……。

だけど、これを拒めば幸は殺される。

神楽に唇を奪われるだけ。

たったそれだけのことが、すごく悲しい。

すごく苦しい。

すごく……切ない。


幸……さようなら。


オレはやってくるだろう神楽の唇を受けるため、そっと目をつむった。


これで幸への想いはもう……終わりにしなきゃ。


「古都…………」

オレは、間近でそっと囁(ささや)く神楽の背中にしがみつき、悲しみを堪えた。


その時だった。


「古都!!」



声が……聞こえたんだ。

オレの、すごく好きな、その人の声が……。


でも、そんなことは有り得ない。

幸はオレを避けていたし、加奈子は神楽から無事、逃げ切ることに成功した。


だからこの声はきっと、幸じゃない。

オレはひらきかけた目をまた閉ざし、一切の光を遮断した。


だけど、オレに圧し掛かる神楽が離れる。


「人間……なぜだ……」


――えっ?


ぽつりと告げた神楽の言葉が、オレを混乱させた。

オレは閉ざした目をまた開けて、神楽に続いて起き上がる。

すると、そこには……。



黒い着物を着た、人間の姿の、幸がいたんだ。


「邪魔者が四匹……」





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