chapter:決意 腰に巻いていた着物を固定させる帯も、神楽によって解かれる。 そして……あらわになるのはオレの肌。 「綺麗だよ、古都。美しい」 神楽はオレへの賛歌を述べると、オレの口に、神楽の唇が落ちてくる。 キス……されるんだ。 幸にもされたことのないキスを……。 だけど、これを拒めば幸は殺される。 神楽に唇を奪われるだけ。 たったそれだけのことが、すごく悲しい。 すごく苦しい。 すごく……切ない。 幸……さようなら。 オレはやってくるだろう神楽の唇を受けるため、そっと目をつむった。 これで幸への想いはもう……終わりにしなきゃ。 「古都…………」 オレは、間近でそっと囁(ささや)く神楽の背中にしがみつき、悲しみを堪えた。 その時だった。 「古都!!」 声が……聞こえたんだ。 オレの、すごく好きな、その人の声が……。 でも、そんなことは有り得ない。 幸はオレを避けていたし、加奈子は神楽から無事、逃げ切ることに成功した。 だからこの声はきっと、幸じゃない。 オレはひらきかけた目をまた閉ざし、一切の光を遮断した。 だけど、オレに圧し掛かる神楽が離れる。 「人間……なぜだ……」 ――えっ? ぽつりと告げた神楽の言葉が、オレを混乱させた。 オレは閉ざした目をまた開けて、神楽に続いて起き上がる。 すると、そこには……。 黒い着物を着た、人間の姿の、幸がいたんだ。 「邪魔者が四匹……」 |