迷える小狐に愛の手を。
第二十三話





chapter:妖狐族の王





……そっか、良かった。

自分の危険を顧(かえり)みず、オレの心配までしてくれる加奈子はやっぱり優しい。

そんな加奈子は、この戦いが終わって、幸が自分の元へと戻ってくれるのを信じて待っている。

優しい加奈子と幸は、誰がどう見てもお似合いだ。


……ツキン。

幸と加奈子のことを認めると、オレの目から涙がまた出てくる。


戦っている神楽と幸が、ぼやけていく。

だけど、今はそんなことを考えている場合じゃない。

オレは乱暴に目を擦(こす)り、滲(にじ)む視界を取り除いた。


「くっそおおおお!!」


何度斬り込んでも攻撃を受け止められる。神楽は焦っている。その証拠に、妖気が乱れていた。

おかげで攻撃が鈍っている。

それを知っている幸は、手にしていた剣を下方向から一気に振り上げ、神楽の剣を弾き飛ばした。

神楽の持っていた剣は、鈍い音を立てて、後ろに転がった。


その隙を突き、幸は神楽の喉元に切っ先を向ける。

神楽は、死を覚悟したんだろう。

地面に両膝を着き、目を閉じた。

それは、幸が勝利した瞬間だった。



「殺せ……。人間に負け、無様な姿をさらしたんだ」


幸は無言のまま、刃を振り上げる。
幸は神楽を殺す気だ。


「っ、ダメ! 幸!!」

オレは、神楽を葬(ほうむ)り去ろうとする幸を止めるため、痛む身体を動かした。

幸の方へ走る。





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