chapter:妖狐族の王 「古都!!」 兄ちゃんたちは、オレを止めようとするけれど、ダメだ。 幸には、神楽みたいに、誰かを殺してほしくない。 幸は、いつだってどこだって綺麗なままでいてほしい。 自分の手を血で染めて欲しくない。 たとえ、どんな相手だったとしても……。 神楽はきっと、償える場所が有るはずだ。 自分が犯した罪の重さを知り、これから生きなければならない。 命を奪った父さんと、母さんの分まで……神楽は生き続けなきゃいけないんだ! 兄ちゃんたちの手を振り切り、オレは幸へと走る。足を踏み込むたびに、全身のあらゆる場所が痛みを訴えてくる。 鈍い痛みが身体を突き抜ける。 だけど、それでも幸を止めなきゃ!! 「ゆきっ!! ダメだ!!」 オレが幸の元へと走り、手が届く寸前、幸の刃は振り下ろされた。 そして――……。 冷たい音が地面に響く。 そこにいる幸を除く全員が、息を詰めた。 神楽が殺される!! 少なくとも、オレはそう思った。 だけど、神楽からは、一滴の血も流れなかった。 「古都に感謝しろ」 幸は神楽に声をかけると、オレの方へ振り向き、にっこりと微笑んでくれた。 姿は違っても、優しい笑顔は変わらない。 「幸……」 ありがとう。 神楽を殺さないでいてくれて……ありがとう。 オレも、幸に笑顔を返した。 これで憎しみの連鎖は終わる。 |