迷える小狐に愛の手を。
第二十三話





chapter:妖狐族の王





「古都!!」

兄ちゃんたちは、オレを止めようとするけれど、ダメだ。

幸には、神楽みたいに、誰かを殺してほしくない。

幸は、いつだってどこだって綺麗なままでいてほしい。

自分の手を血で染めて欲しくない。

たとえ、どんな相手だったとしても……。


神楽はきっと、償える場所が有るはずだ。

自分が犯した罪の重さを知り、これから生きなければならない。


命を奪った父さんと、母さんの分まで……神楽は生き続けなきゃいけないんだ!


兄ちゃんたちの手を振り切り、オレは幸へと走る。足を踏み込むたびに、全身のあらゆる場所が痛みを訴えてくる。

鈍い痛みが身体を突き抜ける。

だけど、それでも幸を止めなきゃ!!


「ゆきっ!! ダメだ!!」

オレが幸の元へと走り、手が届く寸前、幸の刃は振り下ろされた。

そして――……。


冷たい音が地面に響く。

そこにいる幸を除く全員が、息を詰めた。

神楽が殺される!!

少なくとも、オレはそう思った。


だけど、神楽からは、一滴の血も流れなかった。


「古都に感謝しろ」

幸は神楽に声をかけると、オレの方へ振り向き、にっこりと微笑んでくれた。

姿は違っても、優しい笑顔は変わらない。


「幸……」

ありがとう。

神楽を殺さないでいてくれて……ありがとう。


オレも、幸に笑顔を返した。

これで憎しみの連鎖は終わる。





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