迷える小狐に愛の手を。
第二十五話





chapter:Darkness the Dark





あともう二、三歩の距離で父さんに届く。

進む足をゆるめ、ゆっくり歩いていくと、ひと回り小さい、ほっそりとした綺麗な妖狐が、父さんに寄り添うようにしているのも見えた。


「母さん!!」

父さんだけじゃなくて、母さんもいる!!

またふたりに会えたことが嬉しくて、進む足は少しずつ速度が上がる。

それなのに、父さんと母さんは悲しそうに、首を振った。


『古都。いけないよ。お前はまだ、こっちに来てはいけない』


なにをいってるの?


父さんの思いもよらない拒絶に、オレの足は止まってしまった。

「オレ、オレもそっちに行きたい!! ねぇ、連れて行ってよ!!」


『古都、お前はまだ駄目だ……』

一向に首を縦に振らない父さんは、オレの言葉を拒否し続ける。

なんで? どうして? オレ、もうひとりぼっちなんだ。誰もいないんだ。

暁兄ちゃんも、紅兄ちゃんも、朱兄ちゃんだって、みんな花嫁探しに出て行っちゃう。

オレの側には、もう誰もいないんだ。


「ねぇ、父さん!! 母さん!! オレ、もうひとりはイヤなんだ。連れて行ってよっ!!」

『古都、お前はひとりじゃないでしょう? 目を開けて、しっかり周りを見なさい。きっと、あなたに寄り添ってくれる人がいるわ』

――ううん。そんな人はいない。


「いないんだよ、父さん、母さん!!」


オレはぶんぶん首を横に振って、止まってしまった足を踏み出す。目と鼻の先にいる、父さんと母さんに近づこうとした。





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