chapter:Darkness the Dark あともう二、三歩の距離で父さんに届く。 進む足をゆるめ、ゆっくり歩いていくと、ひと回り小さい、ほっそりとした綺麗な妖狐が、父さんに寄り添うようにしているのも見えた。 「母さん!!」 父さんだけじゃなくて、母さんもいる!! またふたりに会えたことが嬉しくて、進む足は少しずつ速度が上がる。 それなのに、父さんと母さんは悲しそうに、首を振った。 『古都。いけないよ。お前はまだ、こっちに来てはいけない』 なにをいってるの? 父さんの思いもよらない拒絶に、オレの足は止まってしまった。 「オレ、オレもそっちに行きたい!! ねぇ、連れて行ってよ!!」 『古都、お前はまだ駄目だ……』 一向に首を縦に振らない父さんは、オレの言葉を拒否し続ける。 なんで? どうして? オレ、もうひとりぼっちなんだ。誰もいないんだ。 暁兄ちゃんも、紅兄ちゃんも、朱兄ちゃんだって、みんな花嫁探しに出て行っちゃう。 オレの側には、もう誰もいないんだ。 「ねぇ、父さん!! 母さん!! オレ、もうひとりはイヤなんだ。連れて行ってよっ!!」 『古都、お前はひとりじゃないでしょう? 目を開けて、しっかり周りを見なさい。きっと、あなたに寄り添ってくれる人がいるわ』 ――ううん。そんな人はいない。 「いないんだよ、父さん、母さん!!」 オレはぶんぶん首を横に振って、止まってしまった足を踏み出す。目と鼻の先にいる、父さんと母さんに近づこうとした。 |