chapter:Darkness the Dark だけど……。 『古都、わたしたちは何時(いつ)でもあなたを見ているわ』 父さんと母さんの身体が透けていく。 「いや、イヤだよ。行かないで!! 父さんと母さんの側にいたいよ!! ひとりは……ひとりはもう、イヤなんだ!!」 消えかかる父さんと母さんがいる、すぐそこまで走って、手を伸ばす。 もう少しでふたりに手が届く。 そう思った時、ふたりを包む淡い光が消えた。 父さんの姿も、母さんの姿も見えなくなってしまった。 「父さん、母さんっ!!」 ふたりを呼ぶ、オレの声が虚しく木霊する。 ……また、暗闇ばかりの世界になった。 父さんと母さんの姿さえも見えない。 オレはひとり、取り残された。 もう、もうイヤ……。 ココはイヤ。 誰もいなくて、寂しい。 悲しい。 だけど今さら、父さんと母さんが言っている場所には戻ることはできない。 父さんと母さんのところに行けないなら……ココでいいや。 ココにいよう。 オレにはそれが相応しい。 勝手に幸(ゆき)をオレと同じ道に引きずり落として、妖狐としての宿命を背負わせてしまった。 だからせめて、好きな人とは一緒にさせてあげなきゃ。 オレは幸の邪魔をしないように、ココにいよう。 周りの闇と同化するため、オレはそっと目を閉じた。 オレの身体が、鉛を抱いたみたいにずっしり重くなる。 きっと、闇と同化しはじめたんだ。 |