迷える小狐に愛の手を。
最終話





chapter:想い遙かに、忍ぶ恋





なんで? なんでオレ、ココにいるの?


だってオレ、死んだはずじゃ……。

たしかに、オレは神楽に刺され、倒れた。

あの出血の量で生きていられるはずがない。


それなのに……オレはココにいる。

戸惑いを隠せない中、兄ちゃんたちが次々と部屋に入って来た。


「古都……」

「良かった。目が覚めたんだね」

「まったく、お前って本当心配ばっかさせるよな」


幸に無理やり寝かされたオレの真上では、暁(あかつき)兄ちゃん、紅(くれない)兄ちゃん、朱(あや)兄ちゃんがそれぞれため息をついている。


えっ?

オレ、助かっちゃったの?

「彼の看病のおかげで、命を取り留めることができたんだよ。幸君に感謝しなければね」

紅兄ちゃんはニッコリと微笑むと、幸へと視線を移した。

「良かった。古都が目を覚ましてくれて……」

幸もにっこりと微笑んだ。


ゆき……。

オレも、幸とまた話すことができて嬉しい。

眉尻を下げた幸の笑顔に、オレもつられて笑った。



だけど、幸の隣にいる加奈子を見た瞬間、オレの胸は痛み出す。


「古都ちゃん、よかったね」

加奈子はそう言って、オレが無事だったことを、心から祝ってくれる。

だけど……。

オレは素直に喜べない。

だって、幸と加奈子は両想いだから――。

幸を好きだっていうオレの気持ちは、幸にとっては迷惑にしかならない。





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