迷える小狐に愛の手を。
最終話





chapter:想い遙かに、忍ぶ恋





「ああ、神楽なら妖狐族から退(しりぞ)いた。本当は、親父とおふくろを殺した罪で死罪確定だったんだが、古都の気持ちを理解してくれた幸が、群れに話して追放した」


「……そっか」

兄ちゃんの言葉で、オレは少しほっとした。


いくら神楽が父さんと母さんを殺したといっても、オレは神楽を全面的に憎むような気持ちにはなれない。

それはたぶん、兄ちゃんたちも同じなんだと思う。

神楽は、大切な家族を人間に殺されて孤独だったんだ。


好きな相手もいたのに、見向きもされなくて、その挙句(あげく)、好いた人を手にかけてしまった。

それだけじゃなくって、同胞の妖狐族からも追放された……。


神楽も何だかんだで悲しいヤツなんだ……。

「神楽も、いつか分かる時が来るよ。何が真実で、何が偽りなのかということをね」

落ち込むオレに、紅兄ちゃんは宥(なだ)めてくれた。

「さて、古都の顔も見れたことだし、俺たち、もう行くわ」

「えっ?」


朱兄ちゃんの言葉に、オレは下ろした顔を上げて、朱兄ちゃんを見た。

「『えっ?』って、あのな。俺たちまだ花嫁探ししてんの。いつまでも兄離れできない甘えたの面倒なんて見きれっかよ!!」

対する朱兄ちゃんは、両手を腰に当ててオレを見下ろしている。

「古都、何かあれば何時(いつ)でも呼びなさい。離れていても、心はずっとお前の側にいる」

暁兄ちゃんは、そう言って、オレの頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でる。





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