chapter:想い遙かに、忍ぶ恋 「大丈夫だよ、古都。古都が思っているよりもずっと、事態はそんなに悪くはない」 暁兄ちゃんに続いて、紅兄ちゃんも背を向けた。 本当に行ってしまうんだ。 そう思うと、ちょっぴり寂しいけど、永遠の別れじゃないもんな。 またすぐ会えるよな。 「うん。兄ちゃん、ありがと」 オレは、去って行く三人の兄ちゃんたちの大きな背中にそっと礼を言った。 「あ、見送りしますね」 背中を向けて部屋から出て行く暁兄ちゃん、紅兄ちゃん、朱兄ちゃんを追い、幸までもが部屋から出て行ってしまった。 部屋に残されたのは、加奈子とオレのふたりだけ。 ……気まずい。 どうすんだよ、コレ!! ……なんて内心あたふたしていると、加奈子が口をひらいた。 「古都ちゃん」 「はいっ!!」 加奈子の声に反応したオレは、緊張から声が裏返ってしまった。 そんなオレに気づかないふりをして、加奈子は話しはじめる。 「お兄さんから聞いたよ? 古都くんは、『古都ちゃん』なんだってね」 兄ちゃんたち……加奈子に本当のことを言ったんだ。 「古都ちゃんも、古都ちゃんのお兄さんも妖狐さんなんだって?」 「うん、黙っててごめん」 「鏡さんも、妖狐さんになっちゃったって聞いた」 「……うん。オレのせいなんだ……ごめん」 浅はかなオレの行動で、幸や、加奈子に迷惑かけてるんだよな。 |