迷える小狐に愛の手を。
最終話





chapter:想い遙かに、忍ぶ恋





幸は人間だったのに、やりたくもない妖狐族の王になっちゃったし……。

幸の伴侶になる加奈子は、とんだとばっちりだ。

「……ごめん」

「どうして古都ちゃんが謝るの? 古都ちゃん、何も悪いことしてないじゃない」

「うん……でも、オレのせいだから……」

オレがそう言うと、加奈子も黙った。

しばらくの間、また沈黙が流れる。


その沈黙を、今度はオレが破った。

「オレも近々、ココ出るからさ……」

「えっ?」


オレの言葉を聞いた加奈子は、大きな目を丸くして、どうしてなのかと首を傾げてくる。


なんでそうなるんだよ。

オレが一番お邪魔虫じゃないか。

叶わない恋なのに、いつまでも幸を想うなんてさ……。


加奈子にしたら気が気じゃないだろうから。

――いや、違うな。
オレは男だから、加奈子にとっては安全区域か。

男が男を好きになるとか有り得ない話だもんな。

それは幸にとっても同じことなんだろう。


……ちくん。

そう思うと、オレの胸が痛くなる。

「加奈子と幸の邪魔、したくないし……」


あ、ダメだ。

涙が出てきた。

イヤだなぁ。

こんな時にかぎって……。


ほんとオレって、いつからこんなに涙もろくなったんだろう。

沈黙が続く中、階段をゆっくり上ってくる足音が聞こえた。

幸だ。


オレは涙を引っ込めるため、乱暴に腕で、目尻を拭った。



「古都、加奈子ちゃん、ごめん。待たせてしまったね」





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