chapter:想い遙かに、忍ぶ恋 身体はすんげぇ痛いけど、そんなことを気にしていられない。 幸の一大事だ。 足を床に乗っけて加奈子を追いかけようと腰を上げる。 「古都、いいんだ」 幸は手を伸ばすと、浮きかけたオレの腰を押さえて、またベッドに沈めてきた。 「幸? 何が『いいんだ』だよ!!」 オレがいったいどんな気持ちで身を引くの分かってんのか? 「古都……俺ね、好きな人がいるんだ」 ああ、知ってる。加奈子だろう? 「ああ、だから加奈子を追いかけなきゃいけないだろうが!!」 何なんだよコイツ!! 何でこんなにノホホンとしてんだよっ!! オレが幸を睨(にら)めば、幸はオレが思っていることの意味を察したのか、静かに首を横に振った。 へっ? 「違うんだ。俺が好きな人は、加奈子ちゃんじゃないんだよ」 へ? 「そう……なの?」 「うん、そうなんだ」 だって幸、加奈子といる時ずっとニコニコしてたからてっきり好きなんだと思っていたのに……。 あれ? 違うの? オレが拍子抜けしていると、幸はうなずき、話しはじめる。 「昨日、古都の容体が良くなった時にね、実は加奈子ちゃんに告白されたんだ」 ――加奈子。告白したんだ……。 加奈子は幸に告白して、ちゃんと認識されてる。 だけど、オレだって幸に告白したよ? 神楽の攻撃から幸を庇った時、どさくさに紛れてしまうかもしれないけれど、ちゃんと好きって言った。 |