迷える小狐に愛の手を。
最終話





chapter:想い遙かに、忍ぶ恋





「俺が笑うと、笑い返してくれるんだ」

オレの見ていないところで、幸はそうやって好きな人とたくさん話したり、微笑んだりしてるってことか……。

正直、幸の好きな人の話なんて聞きたくない。

オレだって幸のことが好きなのに……。

死ぬかもしれないって思った時にキスまでして、告白したのにそれもなかったことにされてるし……。


胸が痛い。

頭もズキズキする。

それなのに、幸はオレが好きな笑顔で話しはじめる。


オレのこと、眼中にないって、遠まわしにそう言ってるんだ。


「他人のことを思いやる気持ちを持っている優しい子なんだよ」

「へぇ、そうなんだ……」

加奈子よりも好きな人ってことは、相当性格がいいんだろうな。

加奈子よりもかわいくってさ……。

「だけど……大人しくないんだよね。何かと騒動を引き起こす」

かわいくって、大人しくない。

幸はそういう人が好きなのか……。

本当は泣きたいくらい悲しいっていうのに、幸につられて苦笑してしまう。

「そうなんだ。なんか……無茶苦茶な人だな」

「そうなんだ。それにね、その子はアイスクリームをとても好むんだ。それを食べたら、目の前に俺がいるのも忘れて夢中になって、一日中アイスクリームの話しかしないんだよ?」

「ふぅん……」

オレもアイス好きだから、その気持ち分かるな。


……ぽろり。

いつの間にか涙が出てきたみたいだ。





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