迷える小狐に愛の手を。
最終話





chapter:想い遙かに、忍ぶ恋





……ポツリ。
……ポツリ。

上掛け布団に染みが落ちていく……。

「古都?」

オレはうつむいて、ただ布団が染みになっていくのを見ていると、幸の顔が間近にやって来た。

星の輝きをした瞳がオレを映す。

そうすると、いつもオレの頭は真っ白になるんだ。

その代わり、胸がドキドキしはじめる。

ああ、オレ。幸のこと、すごく好きなんだ。

眼中に無いって言われてるのにな……。

往生際が悪い。


今なら神楽の気持ちも分かる。

好きな人に見向きもされないって、すごく悲しいな……。


「古都? まだ分からない?」
「?」

いったい、何が分からないって言うんだろうか?

今度はオレが首を傾げる番だった。

眉間に皺(しわ)が寄るのが自分でも分かる。

それくらい、オレは困惑していた。

幸は、『う〜ん』とひとつ唸ると、言葉を付け足しはじめる。


「あ、そうだ。身体もね……抱いてしまったんだ。その子があまりにもかわいい顔をして涙目で俺を欲しがるから、いけないと思いながらも抱いてしまってね」


……抱いたのか……。

神楽に刺された腹の傷だけじゃなくって、胸と頭までもがズキズキする。

「そっか……じゃあ、その人とはもう付き合ってんの?」

オレは鼻をすすって幸を見つめる。

「……それがね……まだなんだ」

えっ?

抱き合ったのにまだなのか?





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