迷える小狐に愛の手を。
最終話





chapter:想い遙かに、忍ぶ恋





オレは幸の胸に顔をうずめながら、そう伝えた。

おかげで声はくぐもっている。

本当は、ちゃんと幸の顔を見ながら話すべきだと思う。

でもダメ。

すんげぇ恥ずかしいもん。

幸の顔を堂々と見ることができない。

「怖かったんだ」

幸は唸るようにそう言った。

……怖い? 何が?

幸の、言っている意味が分からなくて、恥ずかしいけれど、幸の様子が気になったから、上目づかいで、そっと覗いてみる。

幸は目尻を下げて苦笑を漏らしていた。


「神楽の経緯を話してくれたちょうどその後だったでしょう? 俺も神楽同様、古都に欲情していることを知られて、嫌われると思うと怖かった」


嫌う?

オレが、幸を?

そんなこと、ないのに……。

そりゃ、神楽には、同性なのに異性みたいに見られることはイヤだって思った。

だけど幸なら……。

まだ恋っていう感情は分からない時だったけど、幸なら怖いって思わないよきっと……。


「ゆき……。オレ、幸を嫌うことなんてない」

オレが言うと、幸は顔を下げて、にっこりと微笑んだ。


……きゅん。

幸が微笑むだけで、オレの胸が締めつけられる。

幸の瞳に囚われてしまう。

オレの視線と幸の視線が絡み合い、目を逸らすことが出来ない。


「加奈子ちゃんと家に戻った時、古都はいなくて……恐ろしい喪失感に襲われた。あの時は、いろいろなところを探し回ったんだよ」


……ずっと、探してくれていたんだ。





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