chapter:想い遙かに、忍ぶ恋 「いつもかわいいんだけど、全身を赤く染めて、潤んだ瞳で見つめてくる、あの時の古都もすごくかわいかった。 神楽にもあんな顔を見せていたことには腹が立つけれどね」 「……っつ!!」 あの時は、ものすごく恥ずかしかった。 「オレ……あの時。身体を見られて、幸に淫乱って軽蔑(けいべつ)されたかもしれないって思った」 悲しかったし、苦しかった。 だけど……だけど、幸は……オレを受け入れてくれたんだ。 神楽から逃げることができて――抱かれなくて良かったと、心の底から、本当に、そう思ったんだ。 「思わないよ。だって、神楽にやられているのは明らかだったからね。ね、古都」 「ん? なに?」 幸に訊き返せば、今まで出したことがない甘い声が、オレの口から出た。 なんだ、コレ? なんて思いながらも、幸の視線を受け止めていると、目の前にある幸の顔は見る見るうちに曇っていく。 ……幸? どうしたんだ? 首を傾げると、幸は苦しそうに話しはじめた。 「古都は、神楽に抱かれたの?」 へっ? 「なんで?」 「神楽に連れ去られたんでしょう? あれで何もなかったというのは、あまりにも説得力がないよ?」 うっ……。 「神楽には抱かれてない!! 幸以外には抱かれたくなかったから……ずっと拒絶した……」 顔は幸に固定したまま、恥ずかしくなって視線だけを逸らした。 |