chapter:想い遙かに、忍ぶ恋 幸の舌とオレの舌が離れていく……。 見えたのは、舌の先端が唾液で繋がっているところ。 「古都、俺が与えるキスに夢中になってくれて嬉しいよ……かわいい」 「はぅ……」 ……恥ずかしい。 そう思っても、疼くオレの身体はかなり正直者だ。 さっき、幸に少しだけ指を入れられた、尻の穴がパクパクと開閉を繰り返している。 これは幸を欲しがっている証拠だ。 でも、恥ずかしくてそんなの言えない。 オレはただただ幸の顔を見つめるばかりだ。 オレが身体を熱くしているっていうのに、幸は平然と言葉を紡いでいく。 「古都、妖狐族の唾液って、傷を癒す力があるんだってね」 「え? あ、ああ……」 頭が惚けて幸の言葉を理解できないオレは、意味も分からずコクリとうなずいた。 「試してもいい?」 「へ? あの……」 試すって? 訊ね返せば、無言でにっこり微笑まれる。 幸に見とれて言葉がつっかえてしまった。 オレはもう一度、うなずいた。 だけどうなずいたのはオレの意志じゃない。 有無を言わせない、幸の笑顔のせいだ。 オレが幸の言葉を確認する前に、幸は溜めていた妖力を放出しはじめる。 するとほどなくして、大きな狐の姿に変化した。 綺麗な、麦畑を思わせる金色の色をした滑(なめ)らかな毛ざわり。 オレ……幸の、妖狐の姿も好き。 幸の妖狐の姿は、父さんみたいに大きくて、力強いんだ。 |