chapter:エピローグ~狐の嫁入り 「おめでとうございます」 「おめでとう!!」 ここは、辺り一面が白銀に覆われた、冷たく凍る孤独な世界。 天高くから舞い落ちる粉雪は、まるで純白の天使の羽のようだ。 そんな中、百を優に超える数の妖狐たちは、ある一点に集中して集まっていた。 その場所っていうのが……。 妖狐族、最強の力を持っていたオレ、古都(こと)と、人間だった妖狐の幸(ゆき)がいるところだったりする。 オレが妖狐族最強の力を持っていたというのは、もちろん過去の話。 今は弱小の妖力しか持ちあわせていない。 それは、オレの隣にいる幸に、力のほとんどを渡してしまったからだ。 オレが、自分の妖力をなんとかモノにしようと、二十五年もかけて奮闘していたのに、この隣にいる男は意図も簡単に妖力をコントロールしやがった。 ……気に入らない。 ものすっごく、気に入らない。 恨みがましく、隣にいる幸をギロリと睨(にら)めば、幸はオレの視線を感じ取ったのか、にっこりと微笑み返されてしまった。 ドキンッ! 幸に微笑まれたその途端、オレの心臓は大きく跳ね上がる。 悔しいけど、オレは幸がすごく好き。 それを実感すると、顔に熱が集中する。 隣にいる幸からはオレを惑わす、彼の伴侶である証としての匂いがするし……。 ……って、ダメダメ!! 今はコレに惑わされちゃダメ。 だって、ココには妖狐たちがオレと幸を祝福してくれている。 |