chapter:エピローグ~狐の嫁入り こんなところで幸の香りに支配されたら、たまったモノじゃない。 オレは首を横に振って、奪われそうになる意識を呼び戻し、周りを囲んで賛辞を述べてくれている妖狐たちに集中した。 「古都、綺麗だよ」 人型をした妖狐たちに囲まれた幸が、傍らにいるオレに向かって微笑んでいる。 星空のような輝きを放つ瞳が、オレを映す。 幸の方こそ、すごくカッコいい。 漆黒の髪と袴姿の凛々しい姿に純白の粉雪が降り注いで、まるで淡い光を放っているようだ。 その姿を見ただけで、心臓はまたドキンと跳ねる。 対するオレは、くるぶしまで丈がある、純白の着物に身を包み、着物と同じ色の、絹を被っている。 花嫁としての化粧はしていない。 理由は、幸が隣にいると、ほっぺたが赤くなるから、らしい。 妖狐族の女性陣には、化粧はいらないねって茶化された。 幸と両想いになってから一ヶ月が経った今。 神楽につけられた傷は跡形なく、すっかり消えた。 幸にはほんとに驚かされてしまう。 自分の力を使いこなせなかったオレなのに、人間だった幸は妖力を持てあますことなく駆使できているんだから。 それを言ったら、幸はさも当たり前のように、「俺は、はじめから古都の伴侶になる運命だったんだね」と微笑まれた。 普段の幸はキザだ。 妖狐になった途端、性格は悪魔になるけどな……。 特に、幸に抱かれる時なんて……もう、ほんと最悪で……。 って、ダメダメ。 |