chapter:エピローグ~狐の嫁入り オレもそれには異存はなくって……というか、人間の世界の方が楽しいし、何といっても人間の世界には『アイス』があるんだ。 アレはオレを一瞬にして魅了してきた!! ココ、妖狐族の故郷と同じ雪のような冷たい触感。ひとたび『アイス』を食べれば、ほんのり甘い風味が口の中いっぱいに広がる。その食感は絶妙で、すごく美味いんだ。 アイスという存在を知った今じゃ、離れて暮らすなんて考えられないね。 ――とはいえ、人間の世界にいるとなると、オレは色々学ばなきゃいけない。 オレはいい。 幸と一緒に過ごせるし、大好きなアイスも食べられる。 それに、三毛猫のリンとも仲良くなった。 だけど……だけど、幸は違う。 オレが、幸を妖孤にさせたんだ。 幸は律儀だ。 オレを抱いたから結婚しようとか言い出す。 でも、妖狐族の結婚は人間の世界との結婚とは違う。 妖孤族の結婚は、人間の世界で言う、離婚なんてものがないんだ。 永遠という絆で結ばれる。 やっぱ……やめた方がいいよな。 だって、幸はカッコいい。 それに、オレは妖力の大半を失ったし、幸にとって、オレと一緒にいたって何の得にもならない。 人間の世界は広い。 もしかしたら、この先、幸に見合う女性があらわれるかもしれない。 役に立たない、ましてや男のオレとは違う、もっとずっと素敵な女性が……。 そう考えると、胸はズキズキするし、心臓は鷲掴(わしづか)みされたみたいに苦しくなる。 |