迷える小狐に愛の手を。
エピローグ~狐の嫁入り





chapter:エピローグ~狐の嫁入り





だけど、それは本当のことだ。

今からでも遅くはない。

やっぱり結婚式は取りやめるべきだ。


「幸…………」

オレは幸の袖をぐいっと引っ張って、少し上にある幸の顔を見上げる。

幸の顔を見ると……ダメ。

悲しくなる。

幸とは結婚しないって思ったら、苦しくて涙が出てくる。


オレは泣かないよう、一度、キュッと唇を引き結ぶ。


そして……口を開けた。

そんなオレの姿を、はじめは微笑んで見ていた幸だけど、眉根に皺が寄っていく……。


オレはあまりにも悲しくなって、幸の顔を真っ直ぐ見ることさえできなくなったから、幸から視線を逸(そ)らし、顔をうつむけた。


その瞬間だ。膝の後ろにたくましい腕が入ったと思ったら、オレの身体はふんわり宙に浮いた。


「っへ? わわっ!!」

「すみません、少し待っていてください」

幸はそう言うと、幾千もの太い木々が生い茂っている場所へとオレを抱えたまま歩いて行った。


「さて、古都。君はいったい何を考えていたのかな?」

大きな木の根っこの上にストンとオレを降ろした幸は、膝を立て、同じ目線になって訊(たず)ねてきた。


「なに……も……ない」

何もないなんて嘘だけど、今は悲しすぎて言えない。

『幸は、オレとの永遠を望まない』

そう思うだけで涙が溢れてくる。


唇を引き結んでいないと、嗚咽が飛び出してしまいそうになる。

だからオレは首を横に振って、態度で幸の質問に答えた。





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