迷える小狐に愛の手を。
エピローグ~狐の嫁入り





chapter:エピローグ~狐の嫁入り





両手は、溢れる涙と悲しい気持ちを押し留めるために、着物をぎゅっと握りしめる。

「古都……」

そうしたらさ、幸は、「はー」って、ため息を漏らした。


ズキンッ。

胸が痛むのは、ため息をつく幸が、面倒くさいと言っているように見えたから。


オレ、煩(わずら)わしいって思われたんだ。



「……ふぇっ……」

……ポロリ。

悲しい気持ちを堪えることができなくて、目からあふれた涙は、ほっぺたを伝う。

着物を握りしめた拳の上に、涙の雫が落ちていく……。

「古都?」

幸は、眉根を寄せてオレの顔を覗き込む。

幸の唇とオレの唇が触れそうなくらい、距離が近づく。


キスしたい。

幸に抱かれたい。

あまりにもこの場の空気に似合わない感情が、オレの中を駆け巡る。


ダメなのに……。

幸とは、結婚できないのに……。


オレは流れる涙を腕で乱暴に拭って、笑った。


「幸、結婚するの、止めようっ!!」
「古都?」

「あの、オレとのことは、たった一夜の……でもないけど、過ちだってことも考えられるだろ? だからさ」


幸とは、いつか道を違える時が来る。

本当は……そんなことを考えたくなんてない。


幸とは、これからもずっと想い合っていけると、そう信じたい。


だけど……。

だけどさ……もし、もしも今、幸と結婚して、永遠っていう時間を過ごして、やっぱオレじゃ無理だって思われたら……。





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