迷える小狐に愛の手を。
第二話





chapter:癒えない傷





「ああ、動かないで。傷の手当てをするから……ね」

幸はイヤがるオレをそのまましっかり持って、自ら飛び降りた、高い位置にある、ほわほわした地面にふたたび降ろした。


「いい子だから、少しだけ待っていて」

オレの頭をひと撫ですると、どこかに行ってしまった。



言うとおりにするのはイヤだけど……。

ココから出るのはすんげぇ痛いから……。

仕方ないな。

大人しくココにいてやるよ。


ほわほわしている足場に伏せて、しばらくの間、出て行った幸を待っていると、ガチャリとドアの音が聞こえた。

「よかった、ちゃんとジッとしてくれてた」

耳だけをヒクヒクさせて、目をつむったまま幸と顔を合わせないオレに、安堵(あんど)のため息をつく幸。

オレが幸を見ない理由は、いくら手当てだからって幸を待っていたなんて思いたくねぇもん。


オレは誰も頼りになんてしない。



オレは……ひとりなんだ……。


そう思うと、オレの胸がズキリと痛む。


悲しみに覆われているオレの後ろ足を、幸がそっと持ち上げた。


ズキッ。

いってぇ!!


あまりの痛みに身体がビクンと反応する。


「ごめんね、痛いね」


そう言って、幸はオレの身体と同じくらいの大きさの白い箱を隣に置いた。


幸が箱を開けたら、その中には、オレの足に巻かれている白い包帯とかハサミが一式、入っていた。


「少し、染(し)みるけど……ごめんね」





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