chapter:癒えない傷 「ああ、動かないで。傷の手当てをするから……ね」 幸はイヤがるオレをそのまましっかり持って、自ら飛び降りた、高い位置にある、ほわほわした地面にふたたび降ろした。 「いい子だから、少しだけ待っていて」 オレの頭をひと撫ですると、どこかに行ってしまった。 言うとおりにするのはイヤだけど……。 ココから出るのはすんげぇ痛いから……。 仕方ないな。 大人しくココにいてやるよ。 ほわほわしている足場に伏せて、しばらくの間、出て行った幸を待っていると、ガチャリとドアの音が聞こえた。 「よかった、ちゃんとジッとしてくれてた」 耳だけをヒクヒクさせて、目をつむったまま幸と顔を合わせないオレに、安堵(あんど)のため息をつく幸。 オレが幸を見ない理由は、いくら手当てだからって幸を待っていたなんて思いたくねぇもん。 オレは誰も頼りになんてしない。 オレは……ひとりなんだ……。 そう思うと、オレの胸がズキリと痛む。 悲しみに覆われているオレの後ろ足を、幸がそっと持ち上げた。 ズキッ。 いってぇ!! あまりの痛みに身体がビクンと反応する。 「ごめんね、痛いね」 そう言って、幸はオレの身体と同じくらいの大きさの白い箱を隣に置いた。 幸が箱を開けたら、その中には、オレの足に巻かれている白い包帯とかハサミが一式、入っていた。 「少し、染(し)みるけど……ごめんね」 |